泣くことの推奨 2回目
さて、前回のつづき・・・・
あの事件以来、悪ガキどもは彼が泣き出しそうなそぶりを見せ始めると
蜘蛛の子を散らすように逃げ出す。
またその小さな男子生徒もなかなかのしたたか者。
自分にとって気に入らないことがあると
「泣くぞ!泣くぞ!」と言った演技をして見せ
まわりの生徒たちを恐怖の世界へと引きずりこんだのである。
どうやら彼は思いっきり「泣く」という非常事態に入る事によって
自分が小さいとか、気が弱いとかと言うマイナス思考を
吹き飛ばすだけでなく、
自分の持っている”力”を100%出し切れる事に気が付いたようである。
話を変えて言えば
火事だ! と言う非常事態の中で、オバアさんが重いタンスを
持ち出したのと同じ事が言えるのではないだろうか。
もうダメだ! もう耐えることが出来ない!というような
身の危険を感じた時、人はとてつもない”力”が出るものである。
と言っても持っているもの100%だけなのだが・・・・
だから被害者に成り下がった悪ガキのボスにとっては
小さな男子生徒が例え100%の”力”を出し切ったとしても
まだ自分には十分余力があり、勝ち目があったはず。
しかし、全く予期しなかった彼の抵抗にまず驚き、
また思ってもいなかった程の”力”で投げ飛ばされた!
という事にひるんでしまい、自分の持つ力100%を出せないまま
ギブアップしてしまったのだろう。
いわゆる虚を衝かれたということだったのだろう。
ケンカは強いものがいつも勝つとは限らない。
これは仕事やスポーツでも同じ事。
人は悲しい事、苦しい事、などが積み重ねられ、
それが大きくなるにつれて徐々に「理性」や「知性」が失われていく。
それと反比例して人の持つ本能、いわゆる「感情」が高ぶってくる。
理性や知性で「感情」を抑えきれなくなった瞬間、
人は「泣く」と言う表現で感情を爆発させる。
それは徐々に膨らんでいく膀胱に対し
我慢、我慢を重ねたあげくトイレに駆け込むのと同じ生理現象?
しかしどうだろう。
トイレから出てきたときの気分は?
我慢すればするほど、気分爽快なはずである。
同じく「泣いた」後の気分も、爽快でリラックス状態なのである。
男子、決して泣くべからず、などと我を張らず、
悲しい事や苦しい事があれば素直に泣けばよい。
始めはウソ泣きでも良い。
何度も試みているうちに、ほんとに腹の底から泣けるようになってくる。
全てトレーニングである。
人は泣いているときには、泣くことだけに一点集中している。
だから泣いているうちに
一体自分は何の理由で泣いているのかさえあやふやになってくる。
これほどの切り替え効果のある「泣く」という事も
メンタルスキルの一つとして自分のものとしたらどうだろう。
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